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2011年6月16日木曜日

ヴェネチアと祖谷

前週末からちょっと用事で東京まで行ってきた。 やはり東京は便利、何処へ行くにも気楽に電車に乗れる。 電車に乗るとなると、読書が進む。 往復の新幹線での読書も含めて4日間で単行本4冊読み終えてしまった。 よく祖谷に来て、こんな静でのどかな場所だと読書するのによさそうと言う人は多いが、意外と東京のほうが読書に向いていた。

と、まぁそれは置いておいて今回はその東京で読んだ4冊のうちの1冊にから。 塩野七生の「海の都の物語」。 その本でヴェネチアの誕生物語を読んだ。 ヴェネチアに最初に住み着いた人達は、蛮族から逃げるために沼地に住み着いた人達であった。 祖谷も、元々住んでいる人達はいたようだが有名なのは壇ノ浦の戦いに敗れた平家の落人達が逃げてきた場所。 どちらも自然の要素により攻めにくいものの、あまり人が住むには向いていない土地であった。 もちろん人が住むには向いていない土地であったからこそその後も外敵からの侵略を免れてきたこともあるのだろう。 そんな土地を侵略しても得るものが少ない。 

でもヴェネチアはその後地中海の一大勢力になり、共和国として千年も続いたのに対し、祖谷はずっと隠れ里としてひっそりとしていた。 もちろんヴェネチアが成功したのには海洋国家として交易で稼いだからで、祖谷にそのような選択肢はなかった。 だが、選択肢がなかったのはヴェネチアも一緒。 むしろ祖谷は住みにくい土地であっても自給自足ができるだけの農作業は可能であったのに、ヴェネチアは自給自足は初めから不可能であった。 

よく塩野七生さんはヴェネチア人を現実的な人達だと表現する。 だけど現実的であっただけではあそこまで成功はできなかっただろう。 ヴェネチアがあそこまでの海洋国家になったのには、そうなる必要があったから。 自給自足が不可能なヴェネチアでは、交易で生きていくしかなかった。 その必要性に対して現実的に行動したから成功できた。 原動力はやはり生きるための必要性だったろうと思う。

祖谷に逃げてきた人達は、恐らく最初に農地を開き集落を作り、移動のための橋を作ったりした後はあまり生きていくための必要性に駆られなかったのだろう。 土地が貧しくても生きていく分は採れた。 軍隊が入ってこれるような地形ではないし、富が貯まるほど豊かでもなかったから外敵の心配はその後も無かった。 ある意味、祖谷は自然条件にとても恵まれていたわけだ。 せいぜい違う落人達との喧嘩になる程度。 争いはあったみたいだが、外敵との戦争に発展したことは無かった(知っている限りでは)。 

これが、落人をしつこく追う軍があったなら、ひょっとしたら違っていたかもしれない。 そうなっていたらひょっとしたら必要性から祖谷の人達は山や森を使うゲリラ戦を使うようになり、忍の里になっていたかもしれない。 もし祖谷で生きていくのに充分な食物が手に入らなかったらどうなっていただろう。 何か特産品を発明し、それを売ることで生きる道を見つけていたかもしれない。 

要は人は必要に駆られない限りなかなか変われないし、動かないということ。 こういうことを考えてしまうのは、祖谷の人達には必死さが無いと時々聞くからだ。 どれだけ過疎化し、どれだけ高齢化し、産業が無くなって観光業もうまくいかなくても、とりあえず政府から出る援助などで生きていけてしまう。 農業も林業も観光業も、言葉とは裏腹に全力でどうにかしようとする気配がない。 どうにかする必要を感じていない。 祖谷の人達が本当にこれらに必死で取り組むようになるには、やはりそれが生存に必要と感じられなければならないのだろう。

変に長く紆余曲折した投稿になってしまった。 ここまで読んだ人ご苦労様です。

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2 件のコメント:

  1. ヴェネチアは世界のヴェネチアで、ほかにない都市。
    東洋のヴェネチアだとか、いろいろたとえられても、
    ヴェネチア本体はどこにもたとえられない特殊な場所。
    たいていの、日本の地方の問題は
    祖谷と同じようだと思うけど。
    どこも難しい。何とかしたいと頑張っている人はいるけど。

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  2. 必要に追われ苦境に立たされ、住みにくい土地に追い立てられた人々は過去に世界中にたくさんいただろうけど、ヴェネチアほど成功した例は稀だろうね。 大半はうまくいかずに滅んでしまっただろうと思うと政府の援助はやめるべきと言うわけにもいかない。 どうしたもんだろう

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